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徳島県上勝町を視察に訪れた件、“ゼロ・ウェイスト”の取り組みの最終回です。

ゴミステーションやちりつもポイント以外にもゼロ・ウェイストに向けて、多くの取り組みが実践されています。

ゼロ・ウェイストに向けた多様な取り組み

ノーレジ袋キャンペーン

・店舗でレジ袋を断った方にちりつもポイントを付与するもの

量り売り・ばら売り

・容器持参で必要な量だけ買う、ごみの出ない売り方&買い方を推進。
・町内11店舗でお米、野菜、魚、惣菜、チーズ、ケーキ、洗剤などが量り売りで買える。
・フードロスのみならず、容器や包装を削減することも目的。
・ちりつもポイントも付与!

「上勝町 資源分別ガイドブック」より

布おむつ

・紙おむつを削減することが目的に、1歳未満の子どもがいる家庭の希望者にプレゼント。

「ZERO WASTE TOWN Kamikatsu」ホームページより

ゼロ・ウェイスト認証店制度

・独自の基準で審査し認証する制度。
・研修の受講・分別やリサイクルへの取り組み・ゼロウェイストへの計画的な取り組みを必須要件とした上で、地産地消、食材等の調達におけるごみ発生抑制、店舗運営におけるごみ発生抑制など8項目を基準に審査。
・店舗にとってはブランド価値となる。現在、7店舗が認証を取得。
・人口の3倍ともされる国内外からの視察者を(優先的に)回遊させる方針がとられている模様。(パンフレットも英語対応です)

パートナーシップ

・象印マホービン(株)をパートナー企業に認定。
・同社がマイボトル推進を目的に取り組む”給茶スポット”を町内に設置し(現在6か所)、使い捨て容器を使わずに飲料のテイクアウトができる行動を促進中。

資源化できないごみのひとつが”魔法瓶”である中での同社との連携。両者ともやりますね!

ゴミステーションによる代理介入

・ゴミステーションは、学校や企業が取り組む事業に協力し、代理回収を実施。
・町立上勝中学校が実施しているインクカートリッジの回収、ライオン(株)による歯ブラシ回収、花王(株)による詰め替えパック回収など。

これら以外にも移住者ら起業家やNPO団体がそれこそ様々な活動を展開しています。詳細はこちらの「上勝町資源分別ガイドブック 令和2年度版」をご参照ください。

新ゼロ・ウェイスト宣言

2020年12年、上勝町は「新ゼロ・ウェイスト宣言」を発しました。これまでご紹介した通り、17年間、本当に様々な先進的な取り組みを実践しました。

その成果としてリサイクル率はピーク時83%まで上昇しましたが、その後、近年は80%台で横ばい推移となっていました。

町全体のごみの量も、生活様式の変化もあってか、人口が減少しているものの、減ることはなく、近年は300トン前後で横ばいとなっていました。これらの状態を踏まえ、環境教育と人材教育に重点を置く新しい宣言をした格好です。

まず、リサイクル率は80%が限界、焼却か埋め立てするしか処分の術がないごみ(※1)があることを認識し、いったん受け入れた形です。新宣言では、企業や研究機関と連携してその残り20%をいかに減らすかに注力していくことを打ち出しています
※1:革、ゴム、中身の残った化粧品、ペンキ、水槽、魔法瓶など

また、“住民の負担軽減“や“楽しいゼロ・ウェイストの暮らし“も新たな目標に掲げ、”世界に向けた情報発信を通じて活動の拡散を図る”など、上勝町におけるゼロ・ウェイストは新たなステージに進んだ感じです。

まとめ

上勝町で何を見て、学んできたか、紙面の許す限りお伝えしたつもりですが、やはり今回も百聞は一見にしかず、見ることに勝るものはない、というのが実感です。45分別!“やっぱりここまでやるんだ・・・”、“ここまでやらなければリサイクル率は80%にならないのだ”ということを肌で感じました。

もちろん、リサイクル率80%=カーボン・ニュートラルではありませんが、地球環境を守り、地域のきれいな空気や水を後世に継承していくためには、これくらいのことが求められているのは確かだとあらためて思いました。

特に印象に残ったことはふたつ。ひとつは、ごみを資源として捉える意識とそれを金銭に換算したコスト意識の高さです。私も、経費の削減のためにとどまらず、資源の再利用や資金化を通じて、その先に何ができ、何をすれば、循環型経済の構築に資するのか、そして町民がその効果や意義を実感でき、活動の持続性が高まるのかをあらためて考えてみます。

もうひとつは、『ゼロ・ウェイストはまだまだ途上、これからです』との花本町長のことばです。公民連携のまちづくりで先進・成功事例とされる岩手県紫波町のオガールプロジェクトを主導された岡崎正信のことば『(成功したと言われるが)まちづくりに成功も終わりもない』を思い出しました。

事に真剣に取り組んでいる当事者にしてみれば、そういうことなのかも知れません。重い通りに進んだとしても、新たな課題が生じ、壁が立ちはだかる、その連続なのでしょう。ただ、それは妥協を許さず、最終目的に向かってひたすら歩み続ける人にしか見えない景色だと思います。自身もいつかそのような境地に達することができるようがんばっていきます。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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