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あまり馴染みのない言葉ですが、“国民負担率”という数値があります。日経新聞(1月4日付)の経済教室のコーナーで採り上げられていました。大学院で財政のゼミに入り、国家財政の先行きを憂う私にとっては興味のあるテーマでした。簡単にご紹介させていただきます。
ちなみに大学院での卒論のテーマは“合併自治体における財政健全化の検証”でした。今回の話とはあまり関係ありません 笑。
国民負担率とは
国民負担率とは、所得に対して、税金や社会保険料をどれだけ払っているかの割合です。
結論から申し上げますと、令和2年度は46.1%でした。昨年度の44.4%からさらに上昇、史上最高水準を更新しました。
財務省によれば、今年度は44.3%(税金25.4%+社会保障18.9%)に下がる見通しです。しかしながら、国民の負担という意味では、将来の負担となる財政赤字も加える考え方があり、それを加えるとコロナ対策等で借金が膨らんだこともあり、なんと56.5%になります。
国民負担率は、税金のみの時代だった1900年台前半は10~20%で推移したのち、戦後、社会保障制度が創設された後、年々上昇し今日にいたっています。
格差是正のための負担の合意を
寄稿されたのはマクロ経済学を専門とする立正大学 吉川学長。要約すると、“経済的な格差を抑制する所得再配分は社会の安定のために不可欠。応分の負担に関する社会的な合意を形成することが最も重要な政府の仕事“という内容でした。
・19世紀に始まった資本主義は格差との闘いの歴史。格差の防波堤として生み出されたのが社会保障制度。
・格差の問題はいまだ解消されておらず、コロナ禍であらためて浮き彫りとなった。
・高齢者の間の格差は現役世代よりも大きい。高齢社会は格差社会。
・中間層がやせ細って栄えた国がないことは歴史の教訓。
説得力のある重い内容でした。
他国は?
諸外国の国民負担率が気になります。米国は日本より低い31.8%、英国やドイツ、フランスは日本より高くそれぞれ47.8%、54.9%、68.3%です(2018年)。世界に冠たる国民皆保険制度を有し、感覚的には負担が重いとされがちですが。実は他国よりも低いのです。ただ、実質的に借金で賄っている訳であり、次世代を含めた国民の負担という意味では大差がないか、借金がGDP比較で200%を超す唯一の先進国であり、むしろ高いと言えるのかもしれません。
思うこと
この寄稿を読んであらためて感じたことをふたつ。
まず、社会保障制度が整備され始めた20世紀の半ばの日本人の寿命は男性50歳、女性54歳、それがいまや男性81.6歳、女性87.7歳と想定以上に急速に伸びました。社会保障制度のお陰でもあることから、ことは複雑ですが、前提条件が明らかに崩れてしまった以上、吉川学長がおっしゃる内容を含め、何かしらの改革が不可欠であると思います。
ふたつ目は、コロナ禍は有事であり、財政支出の増加はやむを得ないですが、財政健全化への道筋はしっかりとつけて欲しいということです。これは財務省ではなく、政治家の皆さんにお願いすることでしょうが、納税の義務は当然ながら今後も果たしていきますが、中朝的な視野にたち、できるだけ有意義に大切に使って欲しいです。逆の立場になれば、このことを肝に銘じて働きます。以上。
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先見と行動山神 ゆたか
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