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徳島県上勝町を視察に訪れた件、“ゼロ・ウェイスト”の取り組みについてお伝えします。
ゼロ・ウェイスト
上勝町は、2003年9月、全国で初めて「ゼロ・ウェイスト」を宣言しました。ごみをどう処理するかではなく、ごみを出さない社会を目指すものです。
“未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承すること”を目的に、①地球を汚さない人づくり、②地球環境をよくするための世界中の仲間づくり、そしてより具体的に、③2020年までに焼却・埋め立て処分をなくす最善の努力を行うことを宣言しました。
上勝町は、それ以前から、リサイクルタウン計画を策定したり(1994年)、電動生ごみ処理機の購入補助等を実施したりと(1995年)、環境問題に取り組んでいました。しかしながら、一方で、家庭のゴミを公然と燃やす“野焼き”も行われており、決して“意識の高い町”ではなかったとのことです。
1998年に小型焼却炉2基を設置したものの、2000年、ダイオキシン類対策特別処置法の施行によって早々に閉鎖せざるを得なくなったことをきっかけに、“分別して資源化を進めよう!”との決断にいたったとの経緯です。(1基は基準をクリアし使用可能でしたが、思い切って2基とも閉鎖した、とのことです)。
ごみの分別も、1997年まで9種類の分別だったものが、2003年の宣言当時に34分別、2016年には45分別まで細分化され、現在に至っています。
ゴミ収集車のない町
花本町長や町企画環境課、環境活動に取り組む起業家(RDND社)らからプレゼン・お話を伺い、“ゼロ・ウェイストセンター”などを見て回りました。
詳細は後述しますが、“町によるごみ収集なし(車に乗れない方などには収集あり。ただ2か月に一度)”、“生ごみの収集はいっさいなし”、“13品目45分別”、“リサイクル率80%超え”のどれをとっても、そうそう簡単に成し遂げられるものではないと実感しました。
町の人口1,400人の規模だからできるのでは? という指摘も否定はできないとの印象もあります。ただ、“2050年カーボンニュートラル“を実現させるには、(自治体の産業構造等々にもよりますが)この上勝町の姿がひとつの答えであることは間違いない、との結論です。
因みに、国内では上勝町以外に4つの自治体が“ゼロ・ウェイストの宣言”をしています。
福岡県大木町(人口約1.4万人、面積約18㎢)、熊本県水俣市(2.4万人、163㎢)、奈良県斑鳩町(2.8万人、14㎢)、福岡県みやま町(約3.6万人、105㎢)です。
“宣言”はしていないものの、神奈川県葉山町や東京都町田市など、ゼロ・ウェイストに向けて取り組んでいる自治体は他にもあります。
では、上勝町における“ゼロ・ウェイスト”に向けた具体的な取り組みをご紹介します。
ゼロ・ウェイストセンター
ゴミ集積場です。宿泊施設や研修スペースも兼ね備えています。
まず、その建物ですが、家庭で不要となった廃材やガラスなどが躯体から壁、床、装飾品まで、ふんだんに活用されています。それでいて、デザイン性が非常に高いことも驚きでしたが、見た目からの啓蒙活動とも理解できます。
また、”くるくるショップ”では、不要となったお皿やグラス等々の生活雑貨が町民から持ち込まれ、ただで持って帰り、再利用できる仕組みとなっています。町外の人も持ち帰り可です。
ごみを持ち込む”ゴミステーション”の利用方法ですが、町に収集車はなく、町民自らがごみを持っていきます。13品目45種類に分けて、それぞれのコンテナ・箱に入れます。受け入れ時間帯は7:30~14:00or15:30となっていますが、視察を受け入れるために早めに終了しているものと推測されます。年末年始の3日間以外は利用可です。
売却益と処理費の見える化
分別する種類毎に、資源化もしくは処理によって、それぞれ“単位あたり、いくらの収入になるか”もしくは、“支出になるか”が表示されています。否が応にも、ごみを資源と捉える考え方やコスト意識が強まります。
また、資源ごとの売却益(金属類、古紙類、古布類、リユース瓶など)やごみ処理に要した経費(焼却、埋め立てなど)を詳細にわたって開示しています。ごみとお金の関係を意識的に見える化している印象を強く受けました。
ややもすると、経費の方ばかりに目がいき、いかに削減するかがテーマになりがちですが、ごみを資源として捉えることも重視していることが窺えます。
45分別!
前述の通り、ごみは13品目45分別しなければなりません。は以下の通りです。
45分別ですが、例えば、“紙類だけで9種類”、“びん類は4種類”に分かれる、といった具合です。各家庭でどのように分けているのか?45個の袋や箱に分けている方から、家庭ではおおまかに分けて集積所で個別に分ける方など様々なようです。いずれにせよ、大変な作業・負担です。慣れてしまえば、とおっしゃるかも知れませんが、相応のスペースも必要になりますし、やっぱり相当大変だと思います。
一般にゴミの総重量の3割を占めるとされる生ごみですが、”たい肥化”を推し進めています。一般家庭ではコンポストか電動生ごみ処理機(町の補助により、自己負担1万円)、商業施設や事業所では業務用処理機がほぼ100%普及、生ごみのリサイクル率は100%です!
ちなみに開成町では、剪定枝・草・葉を除いて、大きく13分別になるかと思います。①燃えるごみ1、②プラスチック1、③資源ごみ5(新聞紙、雑誌・雑紙、紙パック、布類、ペットボトル)、④燃えないごみ5(びん、カン、ガラス類、刃物類、金物全般)、⑤粗大ごみ。この程度の労・負担で愚痴をこぼすわけにはいかない、との思いにいたります。
剪定木に関しては、開成町では、週1回収集、竹は燃えるごみと一緒に出せます。収集日以外でもグリーンリサイクルセンターに直接持ち込むことも可能です。一方、上勝町では第3セクターで積極的に展開しているバイオマス発電事業に持ち込まれている可能性もありますが、町では回収せず、“各自で処理“となっています。
※詳細はこちらの「上勝町資源分別ガイドブック」をご参照ください。
次回に続きます。
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