このたびの台風21号並びに北海道胆振東部地震により被災された方々とそのご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
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○複合型災害
今年、日本国内で自然災害が相次ぐ中で、”複合型災害”なる表現・用語が多く聞かれるようになりました。具体的には、以下のような指摘がなされました。
①7月の西日本豪雨災害では、高潮によって河川の流れが下流で鈍ったこと/止められたことが洪水の一因となった → 高潮+豪雨=洪水リスクの増大 。
②先日の胆振東部地震では、台風通過に伴う降雨により水分を多く含んだ状態であったことが、大規模な地滑りにつながった → 降雨+地震=土砂災害リスクの増大
③同じく、胆振東部地震では、山腹崩落により厚真ダムの水路が埋まり、大雨が降ると、決壊の恐れがあると懸念された → 地震・土砂災害+降雨=ダム決壊リスク・洪水リスクの増大

東日本大震災も、”地震+津波+原子力発電所の事故”や”地震+液状化現象”などの複合型災害とされておったようですが、あまりの被害の大きさや原子力問題に関心が偏り、そこには目が行きませんでした。今年は、多様な災害が相次いだためか、”複合型”の恐ろしさを再認識しました。

○開成町の災害リスク
前述の複合型災害リスクのうち、開成町でも起こり得るもの、警戒すべきものは③だと考えられます。
丹沢湖の三保ダムの下流に位置していることから、降雨量を基にしたハザードマップには織り込まれていないリスクとして認識すべきでしょう。決壊はなくとも、先の西日本豪雨にて野村ダム(西予市肘川)や野呂川ダム(呉市野呂川)などで洪水との関係性が指摘されたように、ダムの水位上昇等に伴う”放流”による水嵩増加の可能性も承知しておかなければなりません。

先日の町議会一般質問においても、酒匂川のかすみ堤付近=足柄大橋北側の洪水リスクへの対策に関する再質問がなされましたが、対策を講じる必要があると考えます。水辺スポーツ公園のオープン(平成5年)以降だけでも、平成19年と平成22年の2度、酒匂川の水位が同公園の高水敷よりも高くなったことがあります。現在のハザードマップにおいても、降雨量355mm/日のケースで、榎本・中家村地域の一部は浸水の深さ1~2mが想定されており、かすみ堤付近からサイクリングコースを越えて洪水がおこる事態は決して想定外ではないと思います。

具体的には、かすみ堤を結ぶサイクリングコースの区間を嵩上げ+拡幅するか、九十間土手とサイクリングコースの間に堤防を新設するかのいずれかだと思いますが、コストや貴重な歴史遺産であるかすみ堤を保護する点を勘案すれば、前者が現実的かと思います。余談ですが、足柄大橋の橋脚付近は駐車スペースとして有効活用することによって、水辺公園管理棟の北側の駐車場の混雑緩和と草刈りコストの削減が図れると考えます。

因みに、①は開成町が酒匂川の相模湾河口から約10㎞に位置することから、その影響は限られるのではないかと思われます。また、②に関しては町全体が平らであることから土砂崩れが起きる可能性は低いと思います。ただ、近隣市町には山や傾斜地が多くそのリスクは小さくないことから、土砂災害が発生してしまった場合には、開成町は災害救助・復興の後方支援拠点としての機能・役割を担うことが可能だと思います。