【過去の活動のご報告です】

前回の続きとなります。

今年の夏、長野県へ。一昨年の10月、台風19号の豪雨により、千曲川の霞堤より水が流入し大規模な浸水被害が発生した現場と長野市内の決壊箇所を見てきました。

私のバイブル『自治体の災害初動対応~近年の災害対応の教訓を活かす~ 著者:室田哲男先生』にある「防災は想像力」との教えにのっとり、2年が経過してしまいましたが、現地を見て自らの想像力を育むことが目的です。

前回は決壊現場について、今回は霞堤からの流水現場ついてご報告いたします。

<霞堤について>
まず、霞堤はその目的と機能に関して、急流と緩流で大きくふたつに分かれるとされます。急流では、本堤が決壊してもその氾濫水を次の堤防でその流れをに本流に戻し被害を抑える氾濫還元機能があるとされます。一方、緩流では、本堤開口部より逆流させて貯水し、下流への流水量が抑えられる洪水調節機能があるとされます。また、洪水によって肥沃な土壌の土砂が営農区域に運ばれるというエコロジー面での効果が再評価されている、とも言われています。(他にも諸説、かつ様々な視点と見解があると考えます)

<千曲川は>
因みに千曲川の浸水地点は勾配1/1,500と緩流、酒匂川の開成町付近は勾配1/130~1/200程度と急流と位置付けられます。千曲川の霞堤の浸水地点はその下流で川幅が急に狭くなっていることが(約1km→約200m)、霞堤からの水の流入や浸水被害の大きさに影響を与えたのかもしれません。

<現地の印象>
さて、現地を見た印象は、本堤と霞堤の高さはいずれも酒匂川のサイクリングコースの高さとほぼ同程度、氾濫危険水位5mに対して、水位が6.39mに達した事実からすれば、太刀打ちできない規模の水量だったと言うしかなさそうな気がします。
(霞堤付近の当時の状況。千曲市ホームぺーじより)
(本堤)

(本堤から見た霞堤)

(霞堤から見た本堤)


もともと遊水池機能として位置づけられているわけですから、水が流れ込むこと自体は想定されていたことと言えると思います。結果として床上浸水約500戸、床下浸水約1,200戸(いずれも10月末時点)の被害が発生しました。

開口部付近のお店の女性に伺ったところ、『そのお店を含め、一面、腰のあたりまで水に浸かった』とのこと。正直、それ以上細かいことは聞き難い気持ちとなりました。

理論的にはここで遊水機能が果たされた分、下流の水量が減り、被害が抑制されたということになります。ただ、下流で一切被害が起きなければまだしも、これだけの広域・大規模災害となれば、その程度を定量的に測ることは困難かと思います。
(本堤と霞堤の間。水が流入した所)


<流域治水>
とは言え、国の方針としては“流域治水”を強化する方向であり、実際に千曲川流域でも新たに5か所の遊水池が整備される計画です。霞堤と遊水池は厳密には異なりますが、想定される機能で見れば同一であるとすれば、この霞堤を閉じることはないと考えられます。

この台風19号で荒川の支流である越辺川や都幾川などが氾濫したことに関しても、かつては上流に多くあった霞提が、住宅への土地利用の推進などに伴い、堤防が閉じられ、霞堤がなくなったことが下流での被害発生・拡大の一因としてする学者もおりました。

<酒匂川は大丈夫?>
酒匂川ですが、霞堤が存続している限り、同様の被害を受けるリスクがあります。遊水機能を維持しつつも、住宅への被害を最小限に食い止めるための対策が必要である、との結論にいたります。

#聞きます #やります #やり遂げます
山神 ゆたか
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