【過去の活動のご報告です】

前回の続きです。

今年の4月~7月、明治大学公共政策大学院にて、貧困問題について学ぶ「公的扶助論」を受講しました。それをきっかけに、貧困問題についてもっと知りたいとの欲望が芽生え、書籍を何冊か読みました。それらから得たものや感想をお伝えします。

「学力の経済学」(著者:中室牧子さん。教育経済学者)

データを用いて、教育を経済学の理論や手法で分析しようとするものです。日本ではまだまだ浸透していない分野で先駆的な発想です。

貧困の世代間連鎖は解決されるべき課題とし、就学援助制度の必要性は認めつつも、補助金という方法について疑問を呈しています。

海外における実験の“データ”によれば、(1)  子ども手当のような補助金は学力の向上には因果効果を持たなかった、(2)少人数学級は、特に貧困世帯の子どもの学力が向上する効果が大きかった、とのこと。これらを踏まえ、経済学的には、全員に同じ教育を行うことに拘らず、平等主義から脱却して、例えば、就学援助を受ける子どもの比率が高い“学校”(クラス)により多くの資源を配分する方が、費用対効果があると言える、と結論づけています。

事は単純ではなく、それこそ教育基本法の基本理念にも関わるような話だと思いますが、事態はそれほど深刻であり、考え方を抜本的に見直すくらいの覚悟が必要である、との主張だと受け止めました。

「幼児教育の経済学」(著者:ジェームズ・J・ヘックマン。シカゴ大学教授。ノーベル経済学賞受賞者)

低所得層の生活を改善し、階層を押し上げるためには、再分配ではなく、事前分配の方が効果的と主張しています。

実験結果のデータに基づき、認知能力や非認知能力の格差は、幼少期の生活環境に因るところが大きいとの分析の下、(1)再分配は短期的には不公平を減じるが、長期的には社会的流動性を向上させることはない、(2)一方、恵まれない子どもの幼少期の生活を改善する事前分配は、社会的包容力を育成すると同時に、経済効率や労働力の生産性を高める上ではるかに効率的であり、公平な政策であると結論づけています。

特に途上国からの移民の有無などの相違により、米国のデータをそのまま鵜呑みにもできないものの、ある程度参考になると考えます。日本では、個人情報保護の壁が高く、教育に関する公的なデータも公開されていないことから、官頼みで、民間によるビックデータ活用の道は開かれていないことから、この類の調査研究は進みようもありません。より効果的な施策を追求するためには、いずれはこれらの障壁は取っ払われるべきだと思います。デジタル庁発足が契機になればと願います。



#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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