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原油価格が上昇
ガソリン価格が年初からじわじわ上昇しています。言わずもがなですが、ガソリンのもととなる原油価格の上昇が原因です。世界的にコロナ禍からの回復需要が強まっていることに加え、ロシアによるウクライナ侵攻による需給の悪化を背景に、原油価格は年初から実に50%上昇=1.5倍に急騰しました。その後も、停戦交渉の難航もあり、高止まりの状態が続いています。
原油を輸入に依存する我が国は、本来その価格上昇の影響を最も強く受けるはずです。しかし、現実には、ガソリン価格の上昇率は欧米先進諸国が20~30%であるのに対して、6%に止まっています。
補助金の効果
経産省の激変緩和対策事業の補助金が効果を発揮しているからです。当初は1リットルあたり5円、一時上限の25円まで引き上げられ、今週は20.7円、率にすると10~15%程度が補助金によって価格が安くなっています。
4月7日付けの日経新聞では、この措置を若干批判的にとらえていました。まず、①出口が見通せず、財政的な負担が拡大することへの懸念(予算4,300億円は4月中に尽きる見通し。1リットルあたり25円の補助継続の場合、1月あたり2,500億円が必要)、②地球温暖化対策に逆行していること、③価格形成の仕組みが歪むことへの懸念などです。
市場を相手にすることの難しさ
基本的にこの記事が指摘する内容に同意します。
その目的があくまで“激変緩和(スムージングオペレーション)”と明確に位置付けられ、それに矛盾しない措置内容であれば問題ない、と考えます。しかしながら、現実的には、①の通り、出口の設定が曖昧で、“市場を相手に、価格を管理することは容易でない”という現実をやや軽視しているのでは、との懸念はぬぐえません。
勿論、ガソリン車を運転している私自身にとっても、ガソリンはできるだけ安い方がありがたいです。そして、ガソリンを含む燃料価格の上昇によって、生活に困窮される方が増えたり、企業の業績悪化により労働市場にさらなる悪影響が及ぶ可能性があることは十分承知しています。既存の社会保障制度や各自治体の支援制度において、さらに手厚いサポートの手が差し伸べられるべきものかと考えます。
国による介入
市場は基本的に受給関係によって価格が形成されるものであり、良かれと思っていても、行き過ぎた措置は逆にコストがけた違いに膨らむリスクをはらんでいると私は考えてしまいます。
米国やドイツなど欧米先進諸国は、今回、減税措置を検討しているようですが、為替市場や株式市場においても同様に、基本的には市場のメカニズムに委ねるスタンスです。
歴史に基づく考え方や国民性の違いに因るとは思いますが、我が国は“市場を管理しようとし過ぎる”きらいがあるように感じています。為替市場での介入額や頻度は他国比突出して大きく、多いです。株式市場への介入や、時に財政ファイナンスとの批判もある日銀による国債引き受けについても、金融政策の一環ではあるものの、根源は多少似ている気がします。
話はやや飛躍してしまいますが、過去の金融界の護送船団方式や、山一證券の破綻の一因となった損失補填を思い出してしまいます。“お上の言うことをきいていれば、何かあったときに、お上がなんとかしてくれる”、“立場的には下の取引業者がなんとかしてくれる”といったメンタリティーや文化がまだ完全には払拭しきれていないと感じてしまうのは私だけでしょうか。
地球温暖化対策との関連では、経産省“グリーン成長の加速事業”への今年度予算がちょうどこの激変緩和対策の予算と同規模とのこと。ピンチをチャンスに!の発想でいけば、補助金を使うのであれば、今こそ再生可能エネルギー対策を増額して、カーボンゼロ事業の促進を図るべき局面のように思えます。
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先見と行動山神 ゆたか
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