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これまでも何度か、自治体でのDX推進が喫緊の課題であることをお伝えしてきました。住民のニーズが多様化&複雑化する一方で、生産年齢人口≒労働者が減り続ける中で、生産性の向上が求められることが主たる背景です。全国での先進的な取り組み事例も多く紹介させていただきました。

専門人材が足りない

しかしながら、各自治体にDXを推進する意向はあっても(※1)、それを中心的に担う“専門人材”が不足していることがあらためて課題視されています。

※1:令和3年度の総務省調査によれば、”DX推進の全体方針を策定済み”の市区町村は219/1741、”DX推進専任部署を設置済み”の自治体は438/1741。

過日の日経新聞(11月28日朝刊)においても、その”不足”について採り上げていました。
“政府は、市町村の行政システムを統一する共通基盤「政府クラウド」を2025年に導入する計画であり、行政のデジタル化が本格化する”、

“一方で、それらを担う専門人材が不足している。外部人材は民間とも競合し、給与が高騰高度な外部人材に見合った待遇を用意できる自治体は少なく、大規模自治体に偏っている”と指摘されています。

最高情報統括責任者(CIO)補佐官として外部人材を活用している自治体数(総務省資料より)

記事で紹介されていたのが、早稲田大学岩崎教授の意見。『都道府県がリーダーシップをとって、市町村と人材のシェアなどを広域で進めることも検討すべき』と主張されています。

小規模自治体に住む私としては、おっしゃる通りと強く共感します。なぜなら、小規模自治体が単独で取り組むと、費用対効果において割高なコストを強いられる可能性が高いからです。また、政府クラウドに関してのみ言えば、共通の基盤を構築するもので、市町村によって対処しなければならない内容に大きな差はないと思われ、”シェアリング”の格好の対象に思えるからです。実際に愛媛県や福岡県、広島県の備後圏域などで実践されている先行事例があります。

愛媛県におけるシェリングの実例(総務省資料より)

人材育成に舵?

外部人材の任用の難しさも踏まえ、人材育成に注力する自治体が増えているとのこと。正に“リスキリング(Reskilling。技術革新やビジネスモデルの変化に対応して、新しい知識やスキルを学ぶこと)”の実践です。

記事によれば、“様々な団体が各種研修を実施しており(詳細はこちらの総務省「自治体DX推進のための職員育成の取組」をご参照ください)、昨年度は669自治体がDX・情報化の研修を実施しており、前年度から2.5倍増加した”とのことです。

また、研修以外にも、“鹿児島県鹿屋市が係長以上の全職員に国家資格「ITパスポート」の取得を求めるなど独自の取組も展開されています。” ※ITパスポートについてはこちらから

それでも、“多くの研修は、リテラシーや心得を指南するレベルにとどまっている”とされ、公務員の硬直的な人事制度が短期間で変革するとも思えないことから、例えば、政府クラウド導入までに現場で実務を真に推進できる人材が育成するのは相当難しそうです。結局のところ、外部の“専門人材”に相当程度頼らざるを得ないのが現実だと思われます。

開成町のような小規模自治体は、高度の専門性を有し、相応の給与を支給しなければ獲得できないような人材を確保することは容易でないことから、広域で人材のシェアを試みるか、副業人材などを採用するのが現実的な対応となるでしょうか。人口3,200人の福島県磐梯町の最高デジタル責任者(CDO)に神奈川県議会議員であり、(一社)Publitechの代表理事である菅原直敏氏が就任している実例もあります!

磐梯町資料より

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山神 ゆたか

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