静岡県掛川市を初めて訪れました。大日本報徳社の本部にて、“報徳思想・仕法と掛川市“についてマンツーマンの講義をいただき、すっかり掛川ツウの気分です。

今回は、「推譲」の精神と実践によって実現した代表的な3事業についてお伝えします。すべてが故・榛村純一氏が市長時代(1977年~2005年)に成し遂げたものです。背中も見えないくらい遠く、雲の上の存在ですが、そのリーダーシップに学ぶところは多いです。

榛村氏は8期目を目指した選挙戦で敗北して引退されました。その後の市政運営や、榛村市政におけるかなり異例で思い切った事業・政策に対する現在の市民の実際の思いまでは承知しておりません。

ただ、例えば合併によって失効した「生涯学習都市宣言」も後任市長のもとで2年後には復活し、先駆的な環境保護活動や小学校区ごとの生涯学習センターにおける活動などはそのまま継続されているようであり、榛村イズムは現在も健在と言えそうです。

いずれにせよ、その多くが小学校の敷地内にある生涯学習センターは、今で言う“多世代交流”や“地域と学校の連携”、“学校の多機能化”に資するものであり、当時から“健康寿命”の重要性を政策に反映させていたことや、全国初の“文科省からの女性教育長派遣”など“女性活躍・女性の時代“を先取りした事例を見れば、先見の明のある偉大なリーダーであったことは間違いないです。

新幹線掛川駅誘致

「推譲」の精神によるまちづくりの実例、ひとつ目は新幹線掛川駅です。所謂“請願駅”として1988年に開業しましたが、その誘致に際して、実に29.5億円もの寄附が市民や企業から集まったことで実現しました(総事業費は137億円だった模様です)。

聞けば、旧・掛川市民のみならず、県内の24市町村にお住いの方々も“地域の発展”のために募金したとのこと。さらに、掛川市役所職員の全員が、自主的に役職に応じて10~50万円を寄付したとのことです。今ではパワハラ云々も懸念され、あり得ないことだと思いますし、時代が違ったとしても、俄かには信じられないことです。

ちなみに、市長は500万円になるまで給料を50%、議員は50万円になるまで20%カットする条例を制定することで率先垂範されました。

そして、榛村氏の著書によれば、”国鉄本社に104回通った”とのこと。トップ自らが足を運び、直談判する!勉強になります。

東名高速道路掛川インター開設

ふたつめは東名高速道路の掛川インターの開設です。1993年、総額45億円の事業のうち35億円が地元負担、そのうちの12億円を募金によって賄ったとのことです。これまた「推譲」の精神によるまちづくり、恐れ入ります。

榛村市長は自らを”積極財政論者”とし、実際に起債残高は就任時の65億円から数倍に膨らんだ時期もあったようです。相当積極的に公共事業に投資したことになりますが、”財源が足りないから寄附を求めた”というよりは、”生涯学習としてのまちづくり”へのこだわり・信念が募金を集めることの真の狙いであったようにも思えます。

ご参考まで、現在の掛川市の財政状況は以下の通りです(令和2年度)。
地方債残高 448億円、財政力指数 0.90、経常収支比率 88.6%、実質公債費比率 8.0、将来負担比率 43.6 (開成町: 地方債残高 69億円、財政力指数 0.94、経常収支比率 91.7%、実質公債費比率 6.0、将来負担比率 57.1)

また、このインターは全国502番目だったそうですが、掛川市(=榛村氏)からの強い要請により、料金所ゲートがそれまでの501か所と違って、全国初の“緑色”&“切妻屋根”になりました。独自性、話題性などへのこだわり、日本の木の文化への思い入れ以外に、“まちづくりを楽しもう!”みたいな狙いもあったと見受けられます。

掛川城“全国初の本格木造天守閣”復元

3つ目は、戦後では全国初の”本格木造天守閣の復元”です。1994年、総工費11億円の事業がほぼ寄付のみで実現しました。市の生涯学習を通じたまちづくりに共鳴した篤志家が5億円を寄付されたとのことですが、ここでも多くの市民が募金したことは前掲の事例と同様です。

戦後、50以上の城が復元されたがすべて鉄筋コンクリート造り。鉄筋であれば半分の予算で済んだものを、“本物志向”と“木の文化への強い思い”があったにせよ、「推譲」によってここでも“全国初”が実現しました。

いずれも“市民参加”の視点でも大変勉強になる事例です。その金額の大きさのみならず、非常に多くの自治体・県民を巻き込む規模の大きさは驚愕です。そうそう簡単に真似できるものではありませんが、”ぶれない信念”や首長の”リーダーシップ”は自分事として目標にしたいです。

「推譲」については、他にも「掛川市二の丸美術館」や「掛川市ステンドグラス美術館」も市内実業家や医師による寄付・寄贈によって開館しました。どうしても榛村市長の功績に目がいってしまいますが、わがまちのために、という”市民の思い”も凄いです。

また、市内キャンプ場やオレゴン生涯学習村を開設するための第3セクター設立に際しても、多くの市民が出資しています。ここでも、財源確保云々ではなく、わがまちのため、わがまちの子どもたちのために”自分事”として、出資という形で関わる人がたくさんいることが分かります。”自分事”、まちづくりにおいては重要なキーワードです!

次回、興味深い掛川市の取り組みとちょっとお得なふるさと納税自販機についてお届けします。

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先見と行動

山神 ゆたか

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