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『ソーラーシェアリングで、100年先に豊かな未来を』。先日、視聴したオンライン学習会「ソーラーシェアリングと持続可能な農業の可能性」(主催:(一社)全国消費者団体連絡会)の最後に発せられたメッセージです。

言葉の主は、講師を務めたソーラーシェアリングの第一人者・馬上丈司氏(千葉エコ・エネルギー(株)代表取締役)です。

タイトルからして、“農業の持続可能性”にスポットライトを当て、“故にソーラーシェアリングが必要”との内容を想像していました。もちろん、そのようなお話もありましたが、“エネルギー問題”も“農業問題”もまったなしの深刻な状況、このままでは“社会そのものが壊れてしまう”との懸念を強く訴えられました

ソーラーシェアリングとは

既にだいぶ浸透し、ご存知の方も多いとは思いますが、ソーラーシェアリングとは? “農地に支柱を立てて、太陽光発電設備を設置し、その下で従来通りの農業生産を行っていくこと”です。

太陽光を農業と発電でシェアすることからついた名称、と記憶してます。別名“営農型太陽光発電”とも呼びます。

当初は、売電収入や再生可能エネルギーの活用が主目的とされましたが、最近は地域の電源やスマート農業の電源としての利用や、暑さ対策としての遮光の利用など目的も多様になってきているとのことでした。

市場規模は?

2013年以降、ほぼ毎年増加しており、2021年の新規許可件数と下部農地の面積はそれぞれ、779件(累計3,474件)、145ha(累計873ha東京ドーム.haです。

2021年の新たに許可された設備からの発電量は約120MWdc程度(約3万世帯分)と推定されます(馬上氏のブログより)。規模感をイメージしていただくために、参考まで、神奈川県は約422万世帯、開成町は約7,300世帯です。

農水省の資料より

よくある疑問・質問

・台風などに耐えられるか?
「千葉エコ社の設備は、最大風速57.5m/sを記録した2019年の台風19号も無事だった。適切な設計と施工が重要」

・発電設備の寿命は?
「メーカーの出力保証は25年程度。設備全体では30年程度の運用が前提。リサイクル技術の開発も進行中」

ソーラーシェアリングに取り組む理由

馬上氏はソーラーシェアリングに取り組む理由を「生きるために不可欠なエネルギーと食料を持続可能な形で手に入れるため」としています。とても重い言葉です。

エネルギーに関しては、農業が消費するエネルギーの98%が化石燃料に由来していること、農業の重油消費量は国内産業別で2番目に多いことから、「脱化石燃料化を進めなければ日本の農業は持続不可能」との主張です。

農業については、大都市近郊を含めた農村部の過疎化、農業の衰退を放置した結果、「自給自足していかなければ、持続可能な農業が達成できないにも関わらず、若年層が農業に関わろうという意識を持つ機会が失われている」と警鐘を鳴らしています。

社会そのものが壊れかねない

“食べ物はより安く”、“電気代もより安く”を言っている間に、気付けば「社会そのものが壊れかねない事態に陥っている」との危機感を強く訴えられました。

この4月に電気料金が大幅に値上げされる予定ですが(四国電力28.08%~北陸電力45.84%)、その主因は原価の52%を占める“燃料費”が前回(2013~2015年)比で2.3倍に、同じく41%を占める購入電源費が2.5倍に跳ね上がったことです。

曰く、『”1円でも安く”を競っていたが、所詮無理な話だった』、『根本的な問題に手を付けず、目先の安さを追い求め続けたツケが一気に噴出した格好』と手厳しいかったです。

さらには、今後、鉄塔や電線・電柱などインフラ老朽化問題が直撃することや、乱開発による弊害への懸念も付け加えた上で、『ソーラーシェアリングで、100年先に豊かな未来を』との言葉で締めくくられました。

山神の感想・思い

ソーラーシェアリングは前回の選挙時のリーフレットにも重点策のひとつとして掲げました。(今回はいくつかの理由で掲載しておりませんが)今でも推進すべき、推進したいとの思いは変わっていません。

言わずもがなですが、地球温暖化対策としての再生可能エネルギー活用、エネルギーの地産地消、農家の収入増加、業者委託などによる担い手確保と放棄地の未然防止など多くのメリットがあります。

ただ、課題はやはり初期投資コストだと思います。理解や思いがあっても、先立つものがなければ進めないのは、何事にも共通しています。町としての補助や地域金融機関などと連携した低利融資なども検討に値すると思います。また、地球温暖化対策や持続可能な農業のための資金として、企業版を含めたふるさと納税による寄附を募集することも考えられます。

国としても、ガソリン価格へ補助金を支給するよりは(予算額3.2兆円)、再生可能エネルギーの推進に振り向けるべきとの考えです。勿論、生活が困窮されている方、市況の急変で経営が急速に悪化した企業などへの支援は必要です。ただ、それは、いつまで、そしてどこまで上昇するか分からない相場物であり、車を利用する人・企業しか恩恵を受けないガソリン代が対象ではないと思います。

ベーシックインカム的な発想になりますが、”困っている人を助けること”が最も大事です。手続きが煩雑になるデメリットはあります。それゆえに、マイナンバーカードの普及が急がれるわけです。

ソーラーシェアリングに戻りますが、田園風景の景観を損なうことへの懸念もあろうかと思います。開成町も北部の農業振興地域の田園風景は貴重です。全国の棚田など観光資源となっている農地にとっては尚更です。どっちが大事だ?といった二項選択ではなく、十分な議論が必要でしょう。

小田原市曽比にあるソーラーシェアリング

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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