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少子化対策

“少子化対策”の議論が国会等で活発化しています。これまでも様々な手が打たれてきましたが、出生率などの数字になかなか結びつかない上、コロナ禍の悪影響が一層懸念される状況下、本腰をいれんとする気配です。

即効性のある万能薬はないにしても、抜本的な何かが変わりそうです。個人的には今までにない期待感が膨らんでいます。

とは言え、現実的に国の人口は2008年をピークに減り続けています。出産期にある女性の人口が少なくとも向こう30年程度は増えることはないため、出生数の減少に歯止めをかけるには、出生率の著しい上昇が不可欠となります。

話題の“N分のN乗方式”も、フランスが導入したのは77年前の1946年。少子化や人口対策は50年、100年といった超長期の課題であるとの認識が大切でしょう。

神奈川県の人口

少子化の話題から少し逸れますが、身近なところで、最近発表された神奈川県の人口について。

今年1月1日現在の人口は922.8万人、前年比3千人減り、1958年の統計開始来初めて減少した昨年に続いて2年連続の減少となりました。

東京圏一極集中が再燃しそうな気配の中、転入が転出を上回り、3.8万人の“社会増”となったものの、死亡が出生を上回り、4.1万人の“自然減”となり、差し引き3千人の人口減少となった格好です。

申し上げるまでもないですが、社会増減は都道府県で合計すればネットゼロ。自然減を如何に減らすか、特に高齢者人口がピークとなる2040年以降の社会像を如何に描き、構築していくかを視野に、制度設計していくことが大事です。

参考まで、市町村別で見ると以下の通りです。
人口増加数:1位 藤沢市 2,124人、2位 海老名市、3位 川崎市
人口増加率:1位 海老名市 1.5%、2位 開成町、3位 大和市
人口減少数:1位 横須賀市 4,446人、2位 横浜市、3位 小田原市
人口減少率:1位 山北町 2.16%、2位 箱根町、3位 清川村

私たち開成町は依然として健闘していますが、県西地域全体でみると引き続き厳しい状態にあることが確認されました。

さて、少子化対策に話を戻します。

多子世帯支援

“N分のN乗方式”とは?

Nは整数を意味し、所得税の課税方式のひとつです。所得を家族の人数(N人)で割り、それぞれの税額をN倍して課税するものです。

親や子どもの数をそれぞれ何人分にするか(例: フランスは大人は1人分、子どもは2人目までは0.5人、3人目以降は1人分)など詳細はさておき、“子どもをたくさんつくると税金が安くなる”方式です。

高額所得者に有利になるとされる点、片働き世帯に有利・共働き世帯に不利とされる点や、夫も妻も同格に課税されるため、第3号被保険者制度(※1)が存続すると女性が働くインセンティブを失う矛盾が生じる可能性など、いくつかの課題が指摘されています。フランスにおける出生率の上昇も、この方式だけの効果ではないと考えられ、我が国でもまだまだ議論の余地はあるでしょう。

※1 第3号被保険者: 国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)。保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担し、第3号被保険者は納める必要はない。

それでも、多子世帯を財政面で支援することで、希望する数の子どもを出産、育てていただくことを後押しする効果はあると考えます。なぜなら、国立社会保障・人口問題研究所の調査(2021年)によれば、夫婦が理想の子ども数を持たない理由として最も多いのが「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」であるからです。総数では52.6%ですが、妻が35歳未満の年齢層に限ってみると、77.8%と非常に高い選択率となっています。

また、「家が狭いこと」を理由に挙げる夫婦が9.4%おります。妻が35歳未満の年齢層に限ってみると、21.4%に上り、ここ20年間では最高水準となっています。首都圏の新築マンション平均価格が2年連続で過去最高を更新するなど、住宅価格の高騰も理想の子ども数を持たない/持てない一因でしょう。

いずれにせよ、経済的な理由により理想の子ども数を諦めていた夫婦にとってみれば、子どもが多ければ多いほど所得税の負担が軽減されることの意義はとても大きいと考えられます。

国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査より


参考まで、同調査における夫婦が希望する理想的な子ども数の平均は、減少傾向にはありますが、2.25人です。一方、予定している子ども数は2015年から変わらず2.01人となっています。

もちろん、対象の性別を問わず恋愛する/しない、結婚する/しない、子どもを産む/産まない等々、すべて自由であり、それぞれ個人・ご夫婦・カップルがお決めになることですが、希望する夫婦・カップルが何とか希望する数のお子さんを産んでいただける環境を整えていきたいところです。

国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査より


国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査はこちらから

次回以降、フランスの支援策をお伝えし、少子化対策に関する持論を述べさせていただきます。

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先見と行動

山神 ゆたか

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