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緩やかなつながり

前回、PTAの話題を採り上げました。”PTAとくると自治会”、との連想が働いてしまいます(その逆”自治会とくればPTA”も同様です)。なぜなら、いずれも現行の制度設計のままでは持続可能ではないと思えてならないからです。

持論としては、いずれも“緩やかなつながり”をいかに構築していくかがカギだと考えています。強制や、過度に密な人間関係を強要することは息苦しさや生き難さに繋がってしまいます。一方、完全に崩壊してしまうと、学校の運営に何かと不具合が生じ、地域コミュニティにおいては、社会的に弱い/不利な方々の支援や自然災害発生時の助け合いが不可能になる恐れがあります。いい塩梅の”緩やかさ”が大事ではないかと思う次第です。

要は、形はさて置き、PTAや自治会がこれまで果たしてきた“機能”を維持することが重要であり、その機能を誰が、どのようにして果たしていくか?ということが目下の課題だと認識しています。

仮に、前回ご紹介した某公立中学校におけるPTA改革をそのまま自治会に当てはめるとどうなるか?
・保護者の声に基づき → 各自治会の住民の声に基づき
・活動や専門委員会を廃止 → 活動や各部会を縮小もしくは一旦廃止
・学級役員を募って学年単位の活動に変更 → 組長を募って組単位で活動を基本にする
・役員の活動も年2回のエントリー制とする → 役員はエントリー制(公募)とする。行事を行う場合はその役員か、行事ごとの役員を公募し運営にあたる。

これらを減らした代わりに
・月1回、校長・管理職・学級役員による意見交換会を開催 →3か月1回、役員・組長による意見交換会を開催
といった具合になるでしょう。

また、行事は隣の自治会と共同で開催、といったことも将来的には増える可能性もあるでしょう。

あくまで一例ですが、このような変化が起こり得る状況だと思います。もちろん、自治会によって環境や文化は(大きく)異なりますので、すべての自治会が同じである必要はありません。

全国の状況は?

“自治会の加入率“などで検索していたら、「地域コミュニティに関する研究会」(以下”研究会“)なるものに出くわしました。2021年に総務省が設置し、現状分析と今後に向けた提言を行っていました。報告書(2022年4月)に興味深いデータも多数ありましたので、一部ご紹介します。

※「地域コミュニティに関する研究会 報告書」はこちらから

条例

自治会に期待する方向性を条例や計画で定めている自治体は699(全市区町村1,741の約40%)にも上ります。加入率や加入世帯数、活動に参加する住民の割合に関して条例や計画で定めている自治体は378(複数回答あり、重複していますが1,741の約22%)です。いずれも意外と多い、との印象です。

私たち開成町は自治会に限定した条例は制定されていません。「あじさいのまち開成自治基本条例」の第9条において、
町民は、共助の精神に基づき、地域の自治活動に積極的に参加、協力することに努めるものとします。
町は、地域の自治活動の重要性を認識し、その発展と育成に努めるものとします。
町民は、地域の自治活動に参加しないことを理由に、不利益を受けることはありません
と定めており、参加は任意であることが示されています。

加入率は?

毎年度の加入率を把握している624自治体のデータによれば、全国平均は平成22年・2010年の78.0%から令和2年・2020年には71.7%まで6.3%低下しました。

ただ、地域や人口規模によってばらつきがあります。2020年の加入率に関して、人口1万未満の自治体が最も高く88.6%、対して人口50万以上(政令都市除く)は57.9%と開きはあります。

因みに開成町は約80%とされ(令和3年12月広報)、全体の平均並びに人口1万~5万の自治体の平均74.2%は上回っています。

課題は?

内閣府の調査(平成29年)によれば、多く挙げられた課題は「役員の担い手不足」約86%「役員の高齢化」約83%、「近所付き合いの希薄化」約59%、「加入率の低下」約53%でした。

それに対して研究会では、
・情報共有の効率化のためのデジタル化(電子回覧板、オンライン会議、地域SNSなど)
現役世代の参加促進を通じた担い手の確保
活動内容や行政からの依頼事項の見直しによる負担軽減(委嘱委員の推薦依頼の見直し、市町村窓口の一元化、活動場所の提供支援、地域担当職員の配置など)
・防災や福祉分野などにおける企業やNPO、専門家との連携強化(地域おこし協力隊など外部人材の活用など)などを対策として提言しています。

自治会の問題を自治会任せにせず、市区町村も寄り添いながら、自分事として対応することが重要!と読み取れます。同意します。

取り組み事例

最後に、全国各地での取り組み事例です。加入者を増やすため、交流を促進するため、様々な取り組みが実施されています。

開成町でも頑張りたいです。必ずしも“加入率や加入世帯数”ばかりに拘り過ぎることなく、多世代の交流や顔や名前程度は知る緩やかな絆を創り出し、維持するために。

加入促進

・高齢者世帯を対象にした“なんでも相談カフェ”の開設(宇都宮市)
・秋祭りの実施(福岡市)
・喫茶店に町内会受付センター開設+未加入世帯への戸別訪問と広報誌配布(鹿児島市)

宇都宮市自治会連合会 自治連だより より

女性活躍

町内会会長に女性が登用されたら町からの補助金加算→女性会長が増加し、女性目線での意見採用などの効果あり。(静岡県吉田町)

新たな活動

・LINE講習会開催による交流促進と自治会HPなどのアクセス・利便性の向上(東京都中央区)
・フリマとワークショップ開催による多世代交流(久留米市)

以上となります。お付き合いいただき、ありがとうございました。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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