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先日、神奈川県地球温暖化防止活動推進センターからメールが届きました。いつもはセミナーの案内の類が多いのですが、今回は「気候変化レポート」でした。
気候変動に関する最新の観測結果と将来予測を、これまでは冊子で公表していたものを、東京管区気象台のホームページにて公開することになった、とのこと。
地球温暖化問題は重大な課題です。パリ協定の2℃目標や2050年カーボンニュートラル目標などが掲げられ、様々な取り組みがなされています。それでも、個人的には、具体的な数字をいまひとつ明確に把握しきれていなかったため、覗いてみました。気温以外の興味深いデータも掲載されておりましたので、一部をご紹介します。
ご興味ある方はこちらのサイト「東京管区気象台 関東甲信・北陸・東海の気候の変化」をご覧ください。
海面水温
まず、日本近海の平均海面水温ですが、過去100年間に1.19℃上昇。この間、日本全体の平均気温の上昇率+1.28℃とほぼ同程度です。
ただ、世界全体の海面水温の上昇率+0.56℃を上回っています。これは、日本に近い大陸の内陸部の地上気温上昇率がより高いことの影響と考えられる、とのことです。
海面水位
日本沿岸の海面水位は、“1980年以降は上昇傾向が見られる“とし、実際の数値も約10cm前後上昇しています。”海面上昇“に関する報道とイメージが一致します。
しかしながら、さらに遡って1906年以降で見ると、“上昇傾向は見られない”とされていました。データの読み方としては現時点はそういうことになる、ということでしょう。
神奈川県の気候変化
気温
横浜の観測点(中区山手)のデータが公表されています。年平均気温は過去100年間に2.0℃上昇のトレンドが確認されています。季節ごとにみても、平均気温は上昇しているとみられる、とされていました。
日本全体の上昇率+1.28℃を大きく上回っていることになります。
猛暑日、真夏日、熱帯夜はいずれも増加、冬日は減少。
真夏日(最高気温30℃以上)は10年あたり1.7日増加のトレンド(線形回帰で求めた長期変化傾向)。日数でみると100年前の年間30日前後から50~60日に増えています。
冬日(最低気温0℃未満)は10年あたり4.0日減少のトレンド。日数で見ると、100年前の年間50日前後から一けたに大きく減少しています。
降水量
年間の降水量にトレンドは確認できない、とされています。5年移動平均でみると、1,500mm~2,000mmのレンジ内でほぼ横ばい推移となっています。
所謂ゲリラ豪雨など、局地的・短時間の激しい雨は増えていますが、年間の降水量でみるとトレンドは確認できません。ただ、気象庁によれば“1970年代から2000年代までは年ごとの変動が比較的大きくなってきた”としています。
防災・減災の視点で言えば、“局地的”ゆえに、正に場所によります。全国平均や代表的な観測地点のデータに過度に依存しないことが大事であることは言うまでもありません。
さくらの開花日
さくらの開花は早まり、かえでの紅葉は遅れるトレンドが確認されています。
さくらの開花は10年間に1.1日早まるトレンドなので実感は乏しいかもしれません。ただ、紅葉は10年間に5.0日遅れる傾向が確認されています。私が生まれた1960年代と比較すると約1か月も遅くなっています。ちょっと驚きです。
将来予測
最後に今後の話です、将来予測。
ふたつのシナリオで予測されています。21世紀末の世界平均気温が工業化前と比べて、①約2℃上昇(パリ協定の目標が達成された世界)と、②4℃上昇(追加的な策をとらなかった場合)です。
気温は、①約1.3℃上昇、②約4.2℃上昇。
猛暑日は、①3日程度増加、②27日程度増加。
※神奈川県の気候変動(リーフレット)はこちらから
私が指摘するまでもなく、①と②では非常に大きな差になります。さくらの開花やかえでの紅葉までは掲載されていませんが、②のケースではそれらを楽しんでいる場合ではないのは明らかです。個人でできることは限られ、効果も実感できないかもしれませんが、地道にやっていくしかないです。
21世紀末には私はもうこの世にはいません。次世代、さらにその先のために。
#聞きます #やります #やり遂げます
先見と行動山神 ゆたか
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