「この20年間で劇的に変わったもの」シリーズ、最終回となる今回は引き続き社会課題とされるもの2つと、意外にも減っていて驚いたもの、上昇したと思い込んでいたら低下していたものです。

農業従事者

農業従事者数に関する指標は結構多様で、見直しもあったりで、どの指標が最も実態に近いのか分かり難いところがあります。今回は、一貫性のあるデータを有する“基幹的農業従事者数”(15歳以上の世帯員のうち、調査期日前1年間において、ふだんの仕事として主に自営農業に従事していた者。これまた少しややこしいです)を使います。

2000年には240万人でしたが、2022年には123万人までほぼ半減となりました。農業センサスの“総農家数”でみても、312万戸から175万戸(2020年)へ45%減りました。

食料自給率を維持、上昇させるためにも、担い手の発掘や確保は言うに及ばす、企業の参入促進や“儲かる農業“への取り組みが喫緊の課題となっています。

農水省HPより

非正規雇用労働者

非正規雇用労働者数は2000年の1,273万人から2020年には2,090万人まで増加、労働者全体に占める割合も26.0%から37.1%に上昇しました。

男女別では、特に男性の上昇率が高く、11.7%から22.1%にほぼ倍になりました。元々非正規の比率が高かった女性も46.4%から54.4%へ上がりました。

課題とされる不本意非正規雇用労働者(非正規雇用労働に就いた主な理由が「正規の仕事がないから」と回答された方)の数・割合は2013年以降で見る限り、減少・低下しているものの、それでもなお240万人もおられます。

不本意非正規雇用労働者数(2013年~2020年。内閣府HPより)

私事ですが、2016年に50歳で銀行を辞め、大学院へ通い始めた頃、非正規社員として働きました。不謹慎な言葉に聞こえてしまったら申し訳ないのですが、非正規労働の実態を自ら体験することの意義はあると考えていました。

いざ、某共済年金の電話相談員として1年半程度働いてみて(当初は週5日、徐々に減らし最終的に週2日の契約に)。健保組合があったことは有難かったですが、交通費の支給はなく、なかなか厳しい雇用条件でした。同僚の入れ替わりの激しい職場で何人かと親しくなりましたが、特にひとり親の方々の生活の厳しさを目の当たりにしました。これが現実だと・・・。

ふと、ある思い出が蘇りました。ドイツ銀行で勤務していた時、事務作業をサポートいただいていた派遣社員のひとりが体調が不安定で欠勤が少なくなかったため、結果的にお辞めいただくことにしました。その際、何とか働かせて欲しいと泣きつかれてしまったのです。

私自身も転職して先を見通すことが難しい中、1年毎の雇用契約、いつクビになるか分からないような環境で必死に働いていたこともあり、傍目には非情と思われても仕方のないような決断をさせていただきました。

自らが派遣社員になり、その雇用条件の厳しさや職場内での立場・ステイタスの低さ、そして何より雇用の不安定さを体験し、働くこと、生きていくこと、人を養っていくことがいかに大変であるか、みんな必死で働いている現実をあらためて学びました。

犯罪件数

これまでは社会課題的なものが多かったですが、最後のふたつは毛色を変えて。

犯罪件数、正式には“刑法犯の認知件数”と言うことを初めて知りましたが、意外にも大きく減っていました。2000年には244万件もありましたが、2021年には57万件まで1/4以下に減っていました

なぜでしょう?日本の警察が優秀であることは間違いないと思いますが、先進国の多くで減っているとのこと。防犯意識の高まりや自動販売機の堅牢化なども理由として挙げられていましたが、人口減少、特に若者の減少が直結しているとの分析もあるようです。

最後に転職率について

終身雇用の崩壊や、ワークライフバランスの重視など働き方・生き方の変化などを受け、そして転職市場の拡大などにさぞかし転職率(労働者全体に占める、一定の期間内での転職者の割合。転職者数÷総労働者数)は上がっているのだろう、と思いきや・・・。

2000年と2021年を比較すると、男性13.2%12.8%、女性20.2%15.3%、合計16.0%13.9%と低下していました。意外でした。

一般労働者(短時間労働者以外の者)とパートタイム労働者に関しても、それぞれ13.5%11.1%27.6%21.3%と低下してました。

“最近の若者はすぐ辞める”みたいな指摘は実は正しくなく、昔はもっと多く辞めていたのが事実です。3年以内の離職率(厚労省)でみると、高校卒と大学卒それぞれ、2000年卒の学生が50.3%と36.5%だったところから、多少の増減を繰り返しながらも、2019年卒は35.9%と31.5%までいずれも低下しています。

思い込みの怖さを再認識しました。以前、藻谷浩介さんからも強い指摘を受けましたが、常に事実を知ることの大切さを物語る事例でした。

私自身の復習にお付き合いいただいたような格好となり恐縮です。これにて“劇的に変わったものシリーズ”を終わりにします。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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