前回の続きとなります。奈良県で定期的に開催されている市町村長サミットにおいて、“少子化、出生率の低さ”の課題に対して、データを用いていくつかの検証がされました。出生率といくつかのデータとの相関係数を算出し、そこから得られる示唆されるところを課題克服に活かそうとする試みです。

私が個人的に興味を覚えた“通勤時間”と“社会的なつながり“と出生率の関係です。

男性の通勤時間との相関関係

都道府県別のデータとして、“通勤時間が1時間以上の男性の割合”と“合計特殊出生率”の相関係数は-0.57、“かなり負の相関がある”と分析されていました。通勤に1時間以上かかる長い男性の割合が高いほど、出生率は低くなる傾向が見られるというわけです。顕著な傾向が見られていたのが、他でもない奈良県と神奈川県、千葉県、埼玉県の4県でした。それぞれ東京と大阪に通勤している男性の割合が高いということもあるでしょう。

仮説としては、“男性のワークライフバランスが夫婦の子どもの数に影響を及ぼしている可能性がある”としていました。そこに記載はなく、その後奈良県としてどうされたかまではまだフォローしておりませんが、故に、その男性の働き方改革で手を打つ、とかの案が考えられると思います。兵庫県小野市の“イクボス宣言”のような。

社会的なつながり

社会的なつながりと出生率の相関係数は+0.61、“かなり正の相関”が見られると分析されていました。“社会的なつながり”をどう測るのか?ソーシャルキャピタルの総合指標を使用していました。人々の付き合いや、交流、地縁的活動、ボランティア活動等を統合した指標です。“ソーシャルキャピタルが豊かな地域ほど出生率が高い“という傾向が確認されたことになります。

ソーシャルキャピタル

ソーシャルキャピタル?明治の大学院に通っていた時に初めて出会った言葉ですが、何だそれっ?強い興味を覚え、数冊の本を読みました。ただ、あまり学術的な方向で極めても実際に地域で役に立てることができなければ意味がないので、要は“地域での人間関係や信頼関係、つながりの強さ”と解釈するにとどめました。

一応、定義としては“人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方のもとで、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念”とされ、社会関係資本と訳されます。

ソーシャルキャピタルには負の側面もあり、人間関係が濃すぎると同調圧力や生きづらさのようなものを生みかねません。身近なところでは、自治会・町内会で言えることです。

自治会とソーシャルキャピタル

人間関係が希薄になりつつあり、地域によっては人口減少の影響もあり、加入率が低下、役員のなり手が不足したり、婦人会や子ども会がなくなるなど活動が減ったり、行事への参加者が減ったりする課題が今まさに起きています。自治会に加入しておらず、近所の顔見知りが少ない/いないと災害時にお互いに助け合えなかったり、避難先で“初めまして“ではただでさえ強いストレスがさらに高まってしまう恐れもあるとも言われます。

一方で、つながりが強過ぎると、構成員全体に同調圧力が強まったり、それが生きづらさにつながったり、そこから抜けるとより強い疎外感を感じざるをえなくなったりといったマイナス面もあります。

よって、この相関関係も政策に如何に活かすかはとても難しいと思います。そもそも、例えば、東京の出生率が最も低い原因は他にあり、その東京のソーシャルキャピタルが弱いだけかもしれません。

とは言え、この検証結果は結果として頭にいれておきたいと思います。自治会の加入率低下はゆゆしき問題です。地域のつながりは大事です。ただ、それ一本やりでは恐らくうまくいきません。“ゆるやかなつながり”がキーワードになってくると思います。では、その緩やかなつながりをいかにして育んでいくか?老いも若きも住民のみなさんの声や知恵を寄せ合いながら、作りあげていきたいです。


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先見と行動

山神 ゆたか

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