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茨城県境町。人口2.4万人、面積46㎢。日本で唯一、自動運転バスが定時運行している町。

大学院の講義にて、同町の(株)さかいまちづくり公社の野口代表からお話を伺い、その内容に意を強くし、私が目指すべきまちづくりの像がより明確になりました。

前回までに、同町の取り組み事例として“地域優良賃貸住宅”や“英語教育”について書かせていただきました。今回はコロナ対応。正に平時ではない、異常事態の下でどのタイミングでどのようなことを実施したのか確認してみます。

危機対応として、その着眼点とスピード感には目を見張るものがあります。そして、それらを独自に実行できる財政力は一朝一夕にはまねできません。この水準に達するには、財源の確保という入口と、政策立案力と実行力の出口の双方の拡充が不可欠です。

コロナ禍での支援策、いつ何を実行したか?

国や県による支援策以外に、“独自の支援策”として同町広報紙に掲載されていたものは、以下の通りです。

町民への経済的支援

・お見舞金: 町民1人あたり1万円(2020年12月)
・臨時子ども手当: 高校生以下の児童1人あたり5,000円(2020年6月)
・町内飲食店休業協力金: 1店舗あたり10万円(2020年4月)
・冷房機購入補助(自宅にエアコンのない高齢者世帯が対象): 1世帯あたり5万円

町民への現物支援

・こども食堂: 毎週土日、約20店舗参加、10食/1店舗。(2020年4月~現在も継続中)
・お米配布: 高校生以下の児童のいる世帯にコシヒカリ5㎏(2020年5月)
・特産物配布: 帰省を自粛している町外在住の町出身者にお米、さしま茶、マスクなど(2020年5月)

町内事業者への支援

・境町地元応援券: 発行総額3,400万円。18歳以下と65歳以上の町民1人あたり3,000円。(2020年)
・境町地元応援券: 発行総額3,950円。29歳以下と65歳以上の町民1人あたり3,000円。(2021年)
・プレミアム商品券: 発行総額1.2億円。プレミアム率20%(2020年8月~)
・プレミアム商品券: 発行総額9,000万年。プレミアム率50%(2021年10月~)
・プレミアム付電子クーポン: 発行総額2億円。プレミアム率25%・1人10万円まで。(2022年6月以降開始予定)
・テイクアウト補助: お弁当半額。上限500円。39店舗、15食/1日まで。(2020年5~6月)

教育関連

・オンライン学習支援のためのタブレットとモバイルWi-Fiルーター貸し出し(2020年5月)

財源あってのこと

他にもマスク配布や給食費の助成、バス事業者支援なども実施されたとのこと。とにかく、質と量のいずれも圧巻です。

コロナ禍を乗り切るために、町民に寄り添い、支援の手を差し伸べる策。帰省を自粛している町出身者にもお米等の支給、その発想力と徹底ぶりには驚かされます。

そして、何より財源をしっかり確保しているからこそ、これだけの策が打てるという事実をあらためて痛感させられます。ふるさと納税制度も適宜活用されていましたが、いずれにせよない袖は振れません。“財源”がいかに重要であるかを証明しています。

オンライン学習支援

対策の内容として、町民と町内事業者に真に寄り添っていると感じられたのは、“ルーターの貸し出し”と“テイクアウト支援“です。

臨時休校を余儀なくされた異常事態において、学習の機会均等を確保するために正に必要な措置でした。学び方の多様化への対処としても意義があり、災害時への対応にも資するものがあります。

テイクアウト支援も意義深いです。事業者支援そのものも勿論重要ですが、町民・消費者側も“何かしたい”、“お役に立ちたい”と考えた際に、生活に欠かせない食事において、密にならずに貢献できる手段としては極めて有効なものです。商工会と町との連携や意思疎通もうまくいっている、との印象を受けます。

以上、事例の紹介に終始し恐縮ですが、将来的に新たな感染症が発生した場合や、自然災害等が発生し日常を喪失するようなケースにおいて、十分に参考になると思われるため、あえて列挙させていただきました。

ワクチン接種に関連するものも含め、今回の経験と教訓を将来に活かすことが大事です。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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