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前回までに、東洋大学大学院公民連携専攻の“地域再生支援プロジェクト”の一環で、埼玉県川島町を視察したことをお伝えしました。
今回は、その視察の目的とは直接的には無関係ですが、同町が発行している“ハザードマップ・ガイドブック”に非常に参考になる点がありましたので、ご報告いたします。
ハザードマップ・ガイドブックの目的
まず、このガイドブックの目的は、巻頭の町長のコメントを引用させていただくと、『普段から災害時にどうするのか、どのように行動するかなど、町民自らの防災活動に活用すること』です。
水害と地震のリスクに対して、想定される事態や発災時にどう行動すべきか、日ごろからの備え、避難所における感染症対策などかなり詳細に記されたものです。
39ページにもわたり、文字も相当多いことから、特に関心の低い人には、まずは読む気力が必要かと思われますが、とにかく内容が充実していることは確かです。中でも、とても有益な情報であると感じたのは以下の3点です。
①危機感を促す表現
同町は四方を四つの川に囲まれた立地にあることから、水害のリスクが高い町です。実際に、1947年以降大きな被害はなかったものの、2019年の台風19号において、床上・床下浸水10件、町面積の10%相当の農地約41,000㎡が浸水被害を受けました。
危機感を促す表現としては、『町全体が浸水する恐れ』、『最寄りの避難所に避難すれば大丈夫と思っていると、避難所も浸水し(以下省略)』、『誰か救助してくれると思っていると、(中略)救助しきれない』
②時間軸を含めた被害想定を伝える具体的な表現
被害想定の具体的な表現としては、『決壊の1時間後に、建物の1階は水没します』、『決壊の3時間後に、建物の2階まで水没範囲が広がります』、『浸水期間は最長1週間~2週間未満』
警戒レベルごとに想定される時間設定の目安について、『レベル1は1~3日前、レベル2は半日前、レベル3と4は数時間前、レベル5はすでに発災』。
③水害に対して、町外への避難を基本としていること
同町では、水害発生の恐れがある段階から、町内ではなく町外へ逃げることを基本としています。想定される最大浸水深が“10~20m未満”、“5~10m未満”のエリアが多いですが、開成町東部の一部と同じ“3~5m未満”や“0.5~3m未満”のエリアもありますが、とにかく“町外に逃げること”を促しています。
隣接する東松山市はじめ5市町と協定を交わし、町外だけで12か所の避難場所(駐車場等)を確保しています。
具体的に“避難先の優先順位”を以下の通り明示してします。
1位 町外の親戚・知人宅等へ
2位 町協定締結の鳥害避難場所へ
3位 町内の緊急避難場所へ
この“町外に逃げる。町外に避難場所を確保する発想”は、真っ平で土砂災害は想定されないものの、逆に高い場所がない点が共通する開成町にも必要であることを再認識しました。
発災時にとにかく住民がだれひとり命を失うことがないことが最も大事なことです。そのために、日ごろからの備えと、発災時にいかに行動すべきかについて、できるだけ多くの住民に周知徹底するか?
地球温暖化の影響もあり、災害の頻度が高まり、激甚化する中で、紙媒体、電子媒体、事前の訓練の内容など今一度検証する必要があると感じました。
#聞きます #やります #やり遂げます
先見と行動山神 ゆたか
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