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前回までに、東洋大学大学院公民連携専攻の“地域再生支援プロジェクト”の一環で、埼玉県川島町を視察したことをお伝えしました。

同町の重要・優先課題のひとつが公共施設の老朽化です。今回は、その課題にどう対処していくかにあたって、同町が定期的に作成している“カルテ”の充実ぶりについてお伝えしつつ、私が今大学院で学んでいる公共施設の効率性(ROA)に触れたいと思います。

そして、次回、視察の目的とは直接的には無関係ですが、同町が発行している“ハザードマップ・ガイドブック”に非常に参考になる点がありましたので、ご報告いたします。

公共施設のカルテ

公共施設の老朽化問題はほぼすべての自治体に共通した課題であり、国主導で多くの自治体が“公共施設等の総合・個別管理計画”を策定しています。

ただ、その策定にあたってどこまでデータを整備しているか、そしてそれらをホームページ等でどこまで開示しているかは、自治体によって差があります。

概して、政令指定都市に代表される大都市は、その必要性の高さやマンパワーに勝ることもあり、データの整備と開示が進んでいます。大都市以外でも、神奈川県で言えば秦野市や藤沢市、全国的には習志野市や浜松市などが先進自治体と評されます。

人口10万以下で括られる小規模自治体では、やはりマンパワーや財政面での制約もあってか、データの質量ともに劣っている感は否めません。

しかしながら、この川島町!非常に充実しています。我々に配布された資料は町ホームページでも開示されており(リンクはこちらです)、極秘情報ではありません。

具体的には、私の知る限りですが、以下のデータは特に小規模規模の自治体ではあまり見られませんが、川島町ではしっかりと収集され、開示されています。
・建物取得価格
・耐震診断や補強の実績
・改修履歴
・施設管理の詳細な内訳
・減価償却費

しかも、過去3年度分が掲載されていることから、容易に比較ができます。

勿論、実際の統廃合などにおいては、数字だけでは決められないことは承知していますが、費用対効果など施設の効率性を自治体内外で比較する場合などにおいて、ここまでのデータが揃っていれば、少なくとも数字上で実態の把握が可能になります。

秦野市の公民館の調査分析

今、私は、大学院で秦野市の公共施設の効率性を調べています。公民館については、開示されたデータを以下のように整理できます。

それぞれの数値の意味するところは、例えば、
表の一番上の行の“西公民館”は、
・2020年、延床面積1㎡あたり、一年間に46.6人が利用した(全公民館の平均33.4人)、

・2020年、利用1回あたり461円のコストがかかった(同778円)、ということになります。

グラフの意味するところは、
・右下の象限は、相対的に“施設規模あたりの利用度が高く”、且つ“利用度あたりのコストが低い”、すなわち効率が良い高い施設となります。前述の西公民館はこの象限に入っています。

・左上の象限は、逆に、相対的に“利用度が低く”、且つ“コストが高い”、すなわち効率が悪い施設となります。上公民館などが該当しています。

これらの比較を元に、効率の改善を図るべき公民館を特定することが可能となったり、効率の良い公民館の要因を分析し、参考とすることもできるでしょう。また、地域的なバランスや人口の増減などを踏まえつつ、統廃合や新設の議論にも利用されることになるでしょう。

事実や根拠に基づく政策立案(EBPM)は単に政策の有効性を高めるのみならず、住民の合意を得るプロセスにおいても重要な役割を演じるようになっています。

また、個人情報の取り扱い方法に関する障壁がまだクリアされていませんが、できる限り多くのデータを開示することによって、それらを用いた調査分析を外部の人や企業が行うことも可能となり、有益な提言が早く且つ安く提供されることも想定されるでしょう。

開成町においては、例えば公民館に関してどこまでデータを整備し、検証しているかは分かりません。少なくとも庁舎や図書室、新設する学童施設などは他市町との比較において、優れているか、劣っているか、劣っている場合は改善の余地や手法を探る必要があると考えます。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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