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『住み続けたい街ランキング』の最終回。今回は、私にとっても最も関心の高い“どのような街・行動要素が『住み続けたい』につながるのか?”に関する分析をご紹介します。

どのような街・行動要素が『住み続けたい』につながるのか?

どのような街・行動要素が『住み続けたい』につながるのでしょうか?調査主である(株)リクルート社は”ベイジアンネットワーク(※1)”によりその因果関係を整理し、一部を公表しています。この日のトークショウにおいても説明いただきましたが、相関関係が高いのは主にふたつです。

※1 ベイジアンネットワーク : データの因果関係を分析する手法の1つ。因果関係の強さを、多数の事象間の因果関係を視覚的に整理する方法。

交通の利便性

ひとつは、「交通の利便性」です。『住み続けたい街・駅、自治体』は、“いろいろな場所に電車、バス移動で行きやすい”という問いに対する評価が高い、ということです。

感覚的にも分かり易い特徴ですが、必ずしも電車やバスなど公共交通の充実に限らず、自治体内を走るコミュニティーバスの使い勝手も関係してきます。“生活の足”に困らないことが大事であることが示唆されます。

住民愛着

ふたつめは、「住民愛着」です。『住み続けたい街・駅、自治体』は、“街の住民がその街のことを好きそう”との問いに対する評価が高く、『住み続けた』との因果関係があると考えられる、ということです。

そして、その“街の住民がその街のことを好きそう”と相関関係が特に高いのが、
① “地域に顔見知りや知り合いができやすい
② “子育て環境が充実している
③ “周囲の目を気にせず、自由な生活ができる”の3項目です。

それぞれの街によって特徴が異なり、これら3つがすべて揃っているわけではありませんが、前述の鵠沼・江ノ島エリアは地域に参加し易いイベントや場所があり、特に①が強いとされます。また、詳細は割愛させていただきましたが、同じくランキングの高い横浜市の馬車道・みなとみらいエリアは、多様な人、多様性への寛容さがあり、特に③の要素が大きく影響していると分析していました。

“地域に顔見知りや知り合いができやすい街”とは?

さらに、①“地域に顔見知りや知り合いができやすい”に関連する細かい分析によれば、“地域に顔見知りや知り合いができやすい街(としての評価が高かった街)”にはどういう特徴があるか?というと、
街のカラーを理解した人が移住
単身者も入り易い飲食店がある
地域が支える“質の飲食店”がある(ナショナルチェーン店ではない。素材・内装にこだわり、全部があたりの店。店主が子どもや外国人、観光客すべてに寛容な店 など)、
などが挙げられていました。

“子育て環境が充実している街”とは?

そして、②“子育て環境が充実している”に関連する細かい分析によれば、“子育て環境が充実している街(として評価が高かった街)”にはどういう特徴があるか?と言えば、
NPO活動が盛んで地域の大人が子どもに機会を提供している
子どもがお互いの家に行くことに気兼ねがない
小学生が地元の公立中学校に進学する比率が高い
などが挙げられました。

それぞれの街、自治体によって事情が異なりますが、示唆に富んだ分析であり、参考になります。

開成町に対する示唆

開成町においてより多くの方に『住み続けたい』と思っていただくカギは?理想を言えばキリがありませんが、目下の町の課題とも照らし合わせ、前述の分析から示唆されるところは、

① まず、“生活の足”に困らない環境の一層の整備が求められます。具体的には、開成駅発着のバス路線の拡充、巡回バスの停留所の増加や町外への運行、デマンド型交通の導入などが考えられます。

地域の人々が集い、交流できるお祭りなどイベントの継続と拡充や、子育てや趣味、学習など様々な縁・つながりによる多世代の交流の活発化などが求められる。

また、ナショナルブランドのロードライド型店舗は生活の利便性にはプラスであるものの、街への愛着の観点では、地元のお店や公園、図書館など人が集まる“居場所”の存在がより大事だと考えます。

多様な人、多様性への寛容さ

前述の通り、分析によれば、『住み続けたい街』では“多様な人、多様性への寛容さ“が重視されています。世の中全体としても、過度の同調圧力は生き難さにつながるとされ、個が尊重される流れの中、多様性を受け入れることが重要となってきています。

一方で、開成町は“街の地域活動”の項目で5位にランクされ、地域活動が比較的活発な街であることが示されています。開成町でも、自治会加入率の低下が課題となっていますが、他の市町村よりは地域活動は活発であり、地域コミュニティがしっかりと形成されていることを数字は表しています。


ただ、これが『住み続けたい』につながっているか?とても微妙なところです。“地域に顔見知りや知り合いができ易い”にはある程度結びつくと思われますが、6位の八丈町こそ『住み続けたい自治体』の26位に入っていますが、1位の秩父市は146位、山北町、大多喜町、滑川町、長柄町、坂東市などは150位までに入っていないからです。ちなみに秩父市は自治会加入率93%(2016年)、人間関係が相当密であることが窺われます。

個人的な見解としては、地域活動や地域の絆は、特に自然災害発生時において非常に重要であることは間違いありませんが、同時に多様性を受け入れることが求められています。様々な縁に基づく活動の活発化を図り、災害時において共助が機能する人間関係の構築を目指すものの、特に地縁に関しては抽象的な表現になりますが“緩やかなつながり“を時代は求めていると考えます。

以上、長くなりましが、『住みたい街ランキング』と『住み続けたい街ランキング』についてお届けしました。EBPM(根拠に基づく政策立案)に十分活用できることから、今後も継続してウォッチしていきます。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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