明治大大学院の講座「自治体行政と危機管理」の4回目/15回。東日本大震災の発生当時、岩手県政策地域部長・総務部長で現場の指揮をとられた総務省の現役官僚の経験談を伺いました。実は昨年も伺っているため、2度目になります。大災害発生時の特に初期段階での現場の対応について、実体験に基づき(県の立場として)重要であると強調されてらっしゃったのは以下のような点でした。

○発災直後はとくかく情報が入らない。情報が入るということは被害が軽かったということ。被害が甚大であるほど、情報が入らない。“想像力”を目いっぱい働かせるしかない。

以前、当講義の本来の講師から紹介された、米村敏朗元内閣危機管理監・2020年東京オリ・パラチーフ・セキュリティ・オフィサーのことばを思い出しました。『危機管理とは、つまるところ“想像と準備”。想像が具体的な準備に結びつかないと準備していたとはいえない』。この場合は“事前”に働かせるべきとの意味ですが、いずれにせよ“想像”が大事であるということです。

○不要・不急の業務を捨てる勇気を持つ。
実際はそれらを捨てられない職員が意外と多いとのことでした。内閣府の「市町村のための業務継続計画作成ガイド」においては、“非常時の優先業務以外の通常業務”は「発災直後は停止。(発災後10日目あたりから)徐々に再開する」とされております。

○お金は後からついてくる。
本当の危機発生時は、予算がつくか、経費が認められるか迷ったり、交渉している暇もない。下手に国とかに相談すると時間を浪費する、との経験談でした。この“お金は後からついてくるから心配するな!”との主張は、今も県・市町村問わず事あるごとに伝え続けているとのこと。

最後に、
○県知事が国に最初に要請したのは“ガソリンの確保“だった。
茨城県古河市の職員さんによれば、災害発生時のガソリン補給に関して、本来は市の公用車は優先的にできることになっていたが、実際には店員さんの誘導に従い、長い列に割り込むことはできず一般と同じ扱いを受け入れるしかなかったとのこと(緊急車両は可だったが)。自治体としての燃料の備蓄は、いざという時には、“ガソリンスタンド等と契約しているから安心“って訳にはいかなそうですね。

と思い、ちょっと調べてみたらありました!
「海老名市、ガソリンスタンドを買収-災害時の燃料備蓄がねらい-」。勿論お金がかかる話ですが、流石です、先見と行動!(記事はこちらから)

発災から7年経過、どうしても記憶が薄れていってしまうもの。定期的にこの様な話を聞くことはやはり大切ですね。

引き続き被災地に寄り添いつつ、教訓を活かすことを肝に銘じていきたいです。