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昨年の12月11日、開成町防災講演会『富士山はいつ噴火するのか?』(主催:開成町。講師:神奈川県温泉地学研究所 主任研究員・萬年氏)に参加しました。私自身も認定されている町の“地域防災リーダー”向けのスキルアップ講座の位置付けも兼ねて開催されたものです。

萬年氏のお話を伺うのは2度目。著書『最新科学が映し出す火山』も拝読。今回の講演内容には復習部分も多かったですが、新たな学びもありました。

富士山の噴火の歴史や今後の確率論的な噴火予想、昨年のハザードマップ改定にて初めて示された神奈川県西部地域への溶岩流到達の可能性などに関しては、過去の投稿でも採り上げたこともあり、今回は割愛させていただき(※1)、特にその重要性を説かれていた降灰に対する対策に関してご説明いただいたポイントをお伝えします。

※1 富士山噴火に関する当ブログでの投稿:
2022年2月4日~6日「富士山噴火 降灰に備えるべし1~3」
2022年7月14日「開成町日曜議会傍聴その3~富士山噴火への備え~など」
202210月3日・4日「必ず噴火します1・2」

降灰の影響は甚大

・今後1年間に大規模噴火が発生し、溶岩流が神奈川県の酒匂川流域まで到達する確率は0.015%と極めて低い。

一方で、大規模降灰に関しては、今後1年間に起きる確率は0.086%と同様に低いが、“(いつ発生するかは分からないが)次の噴火が大規模降灰となる確率”は“4.1%”と高い

・過去のシミュレーションでは、神奈川県の広いエリアで“10㎝以上”の灰が降るとされます。桜島の噴火に因る鹿児島市内の年間降灰量が“平均0.2㎝以下”、“過去50年間で最大1.6㎝”であることを踏まえると、“10㎝”がいかに多いかが分かる!

大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループの資料より

・想定される事態としては、
〇微量の降灰でも電車は止まる。特に2輪駆動車は走行不能となり易い。結果的に物流が麻痺する恐れあり。

〇屋根に30㎝以上積もると建物は倒壊する危険性あり。1990年以降の噴火において、20㎝で空軍格納庫の屋根が壊れ、10㎝で牧場の建屋が全壊した実例もあり。

〇取水堰に灰が溜まり、取水できなくなる可能性や、浄水施設に灰に付着したフッ素など有害物質が溶け込むリスクがあり、飲料水が不足する恐れがある。

※桜島の噴火に関連する画像(いずれもフリー素材の写真から)

・そして、これら我々の生活に密接に絡む問題以外に、“灰をどこにどうやって捨てるか?”も重大な課題とあらためて指摘。宝永噴火の噴出量は“17億㎥”、必要とされる処分量は4.9㎥建設発生土が1年間で4.5億㎥東日本大震災にて発生した災害廃棄物が4,700万㎥だったことと比べても、その量がいかに多いかが分かる。

「天地返し」に関する説明(大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループの資料より)

今回はこのあたりまでとさせていただきます。次回、“社会的混乱への事前の備え”や私の質問についてお届けします。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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