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前回の続きとなります。東洋大学大学院の“地域分析”の授業にて開成町の分析を行いました。この機に、開成町の今をあらためて見てみます。

引き続き、人口の話題です、人口が増加し続けた背景について、私なりの解釈を述べさせていただきます。

人口増加自治体は約18%

国の人口が減少に転じて10年以上が経過し、神奈川県も遂に昨年10月に前年同月比で初めて減少しました。全国1,719の基礎自治体(東京都特別区部を1つと数えています)のうち、人口が増加している自治体は果たしてどれくらいあるのでしょうか?

2020年の国勢調査でみると、2015年から増えた自治体は303、全体1,718の17.6%です。感覚はひとそれぞれですが、私は“意外と多い”と感じました。その数は、2005年から2010年にかけての23.6%よりは下がりましたが、2010年から2015年にかけても同じ水準17.6%でした。理論上は、全体が減っていることから、基礎自治体レベルでもその影響は受けるものと予想されますが、コンパクトシティの推進なども相まって、人の移動の流れは大きくは変わらないのかもしれません。

人口が増加した自治体

ちなみに、2020年1年間で、人口が2%以上増えた自治体は(住民基本台帳ベース。除く東京特別区、大阪市)、千葉県流山市+2.5%、長野県軽井沢町+2.5%、熊本県嘉島町 +2.4%、千葉県印西市+2.2%です。コロナ禍が長期化する中で、東京一極集中に歯止めがかかりつつある可能性が指摘されています。

県内の市町村で、直近1年間(2020/12~2021/12)で、人口が増えた自治体は10自治体/33自治体。多い順に、藤沢市 3,686人、大和市 1,901人、川崎市 1,334人、茅ヶ崎市、海老名市、相模原市、開成町、寒川町、厚木市、大井町です。県全体では 2,946人の減少となっており、東京都同様、流出超過が続いています。

開成町 人口増加の背景

さて、開成町の人口が増加し続けている主な要因・背景ですが、4つ挙げました。
①計画的なまちづくり、②小田急、③イメージの向上、④近隣市町との比較優位です。ひとつずつ少しだけ細かく説明させていただきます。

①計画的なまちづくり

・開成町は1965年・昭和40年に、全町域が都市計画区域に指定されました。時間はかかったと言えるかも知れませんが、開成町の今日の発展の礎はここにあったと思います。

同年12月の町の広報紙では「原則的には人口1万人でないと単独申請ができないのを、請願して単独申請した」と記述されています。当時の人口は約6,000人、異例の申請が認可されたものと推察されます。

以降、明るく住みよい“田園都市”を理想像とするまちづくりが、計画的に、地道に、脈々と続けられてきた結果が50年の時を経て今、花開いているものと理解します。勿論、住民の理解と協力なくして成し得なかったものだと思います。

・箱根や丹沢の山々に囲まれ、酒匂川が流れる自然環境の中で、真っ平で住み易い(可住地面積100%)という恵まれた住環境であることも一因と言えます。


・自然災害に関しては、地震のリスクは日本全国どこでもあり、その昔は暴れ川と称された酒匂川の水害リスクも、堤防の整備等されたものの、まだあると認識しています。土砂災害のリスクがないことが住民・移住者に一定の安心感を与えているものと思われます。

・計画的なまちづくりの好例としては、都市計画事業“南部地区土地区画整理事業”の成功が挙げられます。面積は27ha、2007~2015年に組合施行で行われたものです。152名の組合員のご協力とご尽力のお陰で、新小学校の周辺に公園や水路が見事に配置され、自治会館まで整備されました。減歩率は40.63%と高く、組合施行による土地区画整理事業の成功事例として県の方で採り上げられたとの話もうかがいました。今では1,400人を超す人々がお住まいのエリアとなり、店舗も増え、賑わいを見せています。

正に、”ローマは一日にして成らず”です。

ふたつ目以降は次回とさせていただきます。

#聞きます #やります #やり遂げます
先見と行動
山神 ゆたか
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