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図書館探訪記、昨年を中心に訪れた順番にお届けしています。開成町の参考になるものはあるか?あれば何が? 今回は埼玉県の宮代町と杉戸町です。

埼玉県宮代町立図書館 ☆☆☆☆☆☆☆☆

宮代町の人口は3.4万人、面積は約16㎢。
町立図書館は1994年に開館。蔵書数は約23万冊。

2011年に指定管理者制度を導入(TRC 図書館流通センター)。導入に際しては、私が通う東洋大学大学院に対して“導入可能性調査”を要請しました。

調査後の東洋大からの提言は、
「指定管理者導入による効果はある。ただし、民間に幅広い自由度やインセンティブを与えるとともに、図書館以外の幅広い視点を有する民間の参加を誘導できるよう募集を行う必要がある。」、

「他自治体より豊富な資源がある(コミュニティセンター“進修館”など)。これら資源との相乗効果を発揮すべく、できる限り総合的・包括的な仕組みを取り入れるべきである。」というものでした。

ちなみに、来館者数や貸出冊数などの数字を見る限りでは、指定管理者制度を導入したことによる大きな変化は表れていません。もちろん、表面的な数字だけで評価をくだすことはできません。

特徴と感想

・館内の“空間が広い”が第一印象。
天井が高く、窓が大きく自然光を存分に取り入れてこと、あえて書棚を低くし、その間隔を広めとしていることが、そう感じさせたのでしょう。

時の流れがゆるやかに感じられ、くつろぐことができる居心地の良い空間でした。

・分野ごとの蔵書数も人口3万人の町にしては十分であり、羨ましく感じました。特にティーンズ向けが充実しており、幼児・小学生向けも申し分ないスペースでした。

・文庫本の多さが際立ち、この規模の図書館にして大活字本まで備えていることは驚きでした。

・一方で、DVDやCDは若干古いものが目立ち、デジタル化の流れの中で歴史的使命を終えつつあるとの印象でした。

・バス停からは徒歩1分も、東武線の駅からは徒歩13分と利便性は微妙なところ。ただ、駐車場が74台分もあり、車での来館を前提としている感がありました。

近隣に公立中学校と小学校、公設の農園や産直品販売店などがあり、多世代・多様な町民が交流するエリアにある好立地と言えそうでした。

・“あったらいいなぁ度”は8点です。☆☆☆☆☆☆☆☆。宮代町はハード設備が非常に充実した町であり、温水プールに体育館、野球場にソフトボール場、テニスコートに陸上競技場・・・羨ましい限りでした。ただ、人口減少過程にある中で稼働率や維持管理費の負担が余計なお節介と承知しつつも心配になってしまいました。

埼玉県杉戸町 ☆☆☆☆☆☆☆☆

杉戸町は人口4.4万人、面積は30㎢。
町立図書館は多目的ホールやスタジオ、集会室などが同居する複合施設の核です。
2001年開館。蔵書数21万冊。

東武線の最寄り駅からは徒歩17分と国体記念運動広場と隣接しており、駐車場は約380台分あり。車での来館が中心か、もしくはバスが便利。

特徴と感想

・閲覧席数は158!十分過ぎるほどあります。ゆったり、くつろげます。

・学習スペースや視聴覚ブースも充実。wifi完備はもはや当たり前に。

・DVDやCDそして“レコード”も相当数が配架されています(個人的にはそのニーズや稼働率に多少懐疑的なところあります)。

・当図書館が開館して暫くは、隣の宮代町立図書館の利用者が減った、とのこと。お互いに切磋琢磨!ですね。

・小学生の“お泊り会”を毎年夏休みに実施。非日常を味わえる面白い企画です。

・“あったらいいなぁ度”は8点。☆☆☆☆☆☆☆☆。

今回ご紹介した図書館はいずれも“町立“でありながら、年間の来館者数はコロナ後でも7~8万人、コロナ前は20万人前後と多いです。

人口1人あたりの来館数でみると、コロナ後でも2前後、コロナ前は5前後と、開成町の0.30(コロナ後)との差は顕著です。

指定管理料も安くはないことから、税金の適切で公平な使い道や費用対効果の視点でみれば、別の議論もあり得ますが、一定の町民に利用されていることは間違いありません。

#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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