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図書館探訪記、訪れた順番にお届けしています。開成町の参考になるものはあるか?あれば何が? 今回は兵庫県明石市です。

明石市

・明石市は兵庫県の南部に位置し、神戸市に隣接。人口約30万人、面積約49㎢。2018年、中核市に移行。

人口(国勢調査)は、1980年に25万人、1990年に27万人、2000年に29万人をそれぞれ突破。横ばいの後、2020年に30万人台乗せ。

近年の人口増加は、泉市長就任後に打ち出された積極的な子ども施策に因るものとされます。子育て支援以外にも、生活困窮者、高齢者、障がい者、性的マイノリティーに対する先駆的な施策を展開、里親制度や更生支援などにも積極的な自治体です。

・1951年に2町1村を編入し、現在の市域に。1955年、神戸市との合併を問う住民投票を実施するも、反対多数で不成立。

・市立図書館は、今回訪れた“あかし市民図書館”と“西部図書館”の2館。
※ホームページはこちらから

あかし市民図書館

特徴&感想

・蔵書数約40万冊。(西部図書館 約13万冊)。延べ床面積 約3,500㎡。
・2017年1月オープン。
・管理運営は指定管理者制度により図書館流通センターに委託。

・JR明石駅前の民間商業施設「パピオスあかし」の4階に入居。5階に「あかし子育て支援センター」と「あかしこども広場」、6階に公共サービスの「あかし総合窓口」が入居。

当初は、市役所機能の1/3を移転、消費者金融やパチンコ店が入る計画だったものを、泉市長が市民アンケートを基に見直し

・特徴な何と言っても“エキチカ”。
この20年間で全国で約2割も増加した図書館(2022年公共図書館数 3,305館)。利便性の高い駅近の図書館の増加がその主因とされます。この「あかし市民図書館」は正にその典型です。

乗降客数が10万人を超える(コロナ前)JR明石駅の目の前、南口から徒歩1分。この利便性はとても魅力であり、お買い物ついでや、通勤通学の途中などの利用も期待でき、利用者増に直結する立地だと強く感じました。

・実際の数字にも表れており、開館1年後に、移転前の明石公園内の明石市立図書館と比べて、利用者が約4倍、貸出冊数も約2倍に増えた、とのことです。

30万人都市の乗降客数10万人の駅と、それぞれ1.8万人、1.1万人の開成町の開成駅を単純に比べることはできませんが、エキチカの利便性を利用増に繋げ得るという点はとても参考になります

・学習エリアは4種類に分けられ、①カウンター席24席(パソコン可)、②カウンター席7席(パソコン不可)、③閲覧席28席(パソコン可)、④閲覧席24席(パソコン不可)。(学習エリア以外に200以上の座席あり)

利用者それぞれの目的や好みに合わせて、静寂を求める空間と多少の雑音は相互に受け入れる空間に分けている感じです。開成町においても、全体のスペースにもよりますが、この発想は大事になるでしょう。

因みに、あかし市民図書館では、土日祝日の学習エリアの利用は1日を3つの時間帯に分けて、抽選になります(平日は抽選なし)。

・ラウンジでは飲み物可。BGMが流れていて、“静かに読書”とは異なる空間になっています。確か、ツタヤ図書館として有名な佐賀県武雄市図書館も同様だったはず。

・障がいがある方を含め誰でも本を読めるためにユニバーサルサービスも充実しています(対面朗読、スマホアプリYour Eyesのアカウント貸出など)。また、手話教室の開催やLGBTQ関連の特設展示などを通じて、社会課題の様々なテーマに関する情報発信拠点になっています。

情報発信は、多くの自治体において、役場からテーマ毎に個別ばらばらになりがちと認識しています。“図書館に行けば、今の世の中が分かり”、同時に関連事項における町の取り組みも分かるといった状態が理想的、と考えます。

様々な活動を展開、情報発信拠点に。(明石市立図書館「PRESS+α」より)

・最後に、本屋さんと同居していることについて。えっ?といった感じですが、2階に丸善ジュンク堂書店が図書館と同時にオープンしました。「本のまち明石」を掲げる中で、相乗効果を狙って、市の方から同居を働きかけたとのことです。

指定管理で運営を担うTRC(図書館流通センター)と丸善ジュンク堂書店はグループ企業であり、連携の効果も期待できるとは言うものの、書店が激減する中で、大胆な発想です。今後の動向に注目しています。

・こんな図書館あったらいいなぁ度は9点☆☆☆☆☆☆☆☆☆。街の規模は大きく異なりますが、エキチカのメリットを肌で感じました。


#聞きます #やります #やり遂げます

先見と行動

山神 ゆたか

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