目次
図書館探訪記、訪れた順番にお届けしています。開成町の参考になるものはあるか?あれば何が? 今回は、再び訪れた岩手県紫波町図書館です。
なぜ紫波町
なぜ紫波町なのか?主な理由は、
① 「オガールプロジェクト」(※1)に“公民連携事業の成功の秘訣”について学ぶことが多いため
② 町民説明会・意見交換会を地区ごとに4回以上・計100回以上も開催した住民参加型のプロジェクトとしても、そのプロセスに学ぶことが多いため
③ これから開成駅前通り線の整備を進める開成町にとって、駅前開発の先行事例としても参考になるため
④ 人口の規模が開成町に近いことから、開成町に相応しい図書館の規模・中身を探る上で非常に参考になるためです。
(※1)JR紫波中央駅前の町有地10.7haの都市整備事業
なぜ再訪
一昨年の6月に一般旅行客として訪問、図書館を含め、「オガールプロジェクト」のエリアをくまなく見て回りました。
※当時の視察記はこちら
今回は、私が描く“開成駅前の図書館を核とする複合施設構想”のより具体的な像をイメージすべく、(株)オガールが提供するオフィシャルな視察研修プログラムを受けることが目的でした。
この日の視察研修”図書館コース“の受講者は幸運にも私ひとりでした。館長さん、主任司書さんを独り占めしてしまい、申し訳ないとの思いもありましたが、遠慮なく質問等させていただきました。
有料の研修、紫波町にとっては視察ビジネスの一環であると理解していることから、資料やデータ等は開示できません。開成町における図書館構想の参考になりそうな点を中心にお伝えできればと思います。
※紫波町オガールプロジェクト視察研修“標準コース”の報告はこちら
紫波町や図書館の概要は、これまで既にお届けしたため、割愛させていただきます。
※紫波町図書館のホームページはこちらから
紫波町図書館の歴史
2012年に紫波町図書館が開館するまでの歴史を簡単に振り返ってみます。それまで“図書館がなかった町”としては開成町と通じるところがあります。
(一部の)町民からの”図書館が欲しい“という願望は相当昔から、非常に強かったことを今回知りました。オガールプロジェクトが着手されてからはスピード感ある対応がなされたとの印象ですが、それ以前の経緯を踏まえると、その実現までには非常に長い年月を要したことになります。
1965年 銭形平次捕物控の作者・野村胡堂(名誉町民)氏からの寄附・寄贈により、「胡堂文庫」設置
1966年 巡回図書館車スタート
1983年~1994年 町制要覧などに図書館/生涯学習センター建設の意向示されるも実現せず
1998年~2002年 複数の町計画に総合インテリジェントセンター構想/生涯学習センター整備構想を計上
2001年 市民団体「図書館を考える会」結成(後に「図書館を創り育てる会」に改称)
2005年 庁内行政課題研究会が発足、県内外の図書館視察を実施
2006年 「図書館を創り育てる会」が町長あて早期開館等の要望書を提出
2006年 町民協働による「町民の図書館をつくろう委員会」を開催。以後定期開催
2007年~2008年 図書館整備検討委員会を計5回開催
2009年 図書館基本構想・基本計画決定。図書館整備業務を町長部局に移管。
2012年 開館
2016年 2016ライブラリー・オブ・ザ・イヤー優秀賞を受賞
ご覧の通り、市民活動がとても活発だった様子が窺えます。その活動を強く牽引した中心的人物がいらしたそうです。
また、年表には登場しませんが、“図書館コーディネーター”の存在が非常に大きかったとのご説明でした。秋田県立図書館の山崎博樹氏がその人で、図書館整備検討委員会の委員長として招かれました。
オガールプロジェクトに関わる人々のネットワークの中から選ばれたのだろうと思い込んでいましたが、さにあらずでした。県内の図書館を視察する中で、“ビジネス支援・地元産業支援”が今後の図書館に求められる機能であるとの考えに至り、先駆例である秋田県立図書館を視察に訪れたのが初対面だったとのこと。少し驚きましたが、”この人しかいない!”との思いでアタックされたのでしょう。
農業支援
その図書館コーディネーター・山崎氏主導の下で、地元産業支援=農業支援を積極展開することになります。紫波町は食料自給率170%、農業が基幹産業のまち、少子高齢化により農業従事者が減ることへの危機感が背景にあったとのことです。
具体的には、農薬情報が得られる“ルーラル電子図書館”の導入、講演会・講習会の開催、企画展示、町内の農家・生産情報の発信、紫波マルシェとの連携(販売している食材をつかったレシピが掲載されている書籍情報の掲示など)などを今日も行っています。
いかにも役場の仕事に思えますが、紫波町図書館が目指す「図書館を中心にまち全体の地域力の向上」に向けて、図書館としてできることを最大限追求、実践しています!
次回に続きます。
#聞きます #やります #やり遂げます
先見と行動山神 ゆたか
お声をお寄せください
よろしくお願いいたします。
連絡先 :
090-1402-0005
yutaka@yamagamiyutaka.com